釧路家庭裁判所 昭和44年(少)5349号 決定 1969年6月05日
少年 C・D(昭二六・一一・一七生)
主文
少年を釧路保護観察所の保護観察に付する。
少年が北海道川上郡○○町字ル○ラ○三○番地井○誠○方に保管している自動二輪車(○○か○○○号)一台を没取する。
理由
(非行事実)
少年は、公安委員会の運転免許を受けないで、昭和四四年三月○日午前一〇時五〇分ころ北海道川上郡○○町字○○町駅前交差点附近の道路上で自動二輪車(○○か○○○号)を運転したものである。
(該当法条)
少年法三条一項一号
道路交通法六四条、一一八条一項一号
(保護の事由)
少年は現在まで如何なる自動車運転免許を受けたことがないにもかかわらず、昭和四二年に父から第一種原動機付自転車を購入してもらい、これを道路上で運転中、同年三月および五月に警察官に発見され、同年六月七日には当裁判所により不処分の言渡しを受けている。
しかし少年はその後もたびたびみぎ原動機付自転車を使用して無免許運転を繰り返し、さらに昭和四三年一〇月には父から自動二輪車を購入してもらい、爾来これを乗りまわしていて遂に本件非行が警察官に発見されたわけである。
このような非行歴に照らすと、少年は無免許運転の危険性の認識とそれに対する罪悪感を殆んど抱いていないし、また社会的規範に対する遵法意識も極めて低いと考えられる。父母も一人息子の少年を溺愛し少年が無免許運転になることを知りながら、少年のいうがままに再度にわたり車輛を買い与えており、今後とも少年に対する適正な監護は期待できない。また少年は自動二輪車の運転免許を取得すべき具体的計画も持つていない。
したがつて少年の再非行の危険性は極めて高いものというべく、少年の住居が遠隔地にあることをも考えると、現実に可能な保護処分としては少年を保護観察処分にするのが一応相当と認められるが、これによつてもなお再犯の危険性は除去されないとみられるので、これに加えて少年のこれまでの非行反覆の実質的な程度および父の上記少年の非行への加担の態様等を考慮して、本人以外の者に属さず、且つ少年が上記住居地に保管中の自動二輪車(○○か○○○号)を本件犯行を組成した物として没取することが相当である。
よつて少年法二四条一項一号、少年審判規則三七条一項、少年法二四条の二、一項一号、二項を適用して主文のとおり決定する。
(裁判官 広田富男)